【ストラディバリウスを減価償却しない理由】CoCo壱番屋創業者の申告漏れについて<BLOG#5>
こんにちは。東京都立川市の医科・歯科・オーナー企業に強い税理士 小糸 輝(こいとあきら)です。
昨日入ってきた衝撃のニュースがこちら。
「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(愛知県一宮市)の創業者、宗次徳二氏(70)が取締役を務める資産管理会社「ベストライフ」(名古屋市中区)が名古屋国税局の税務調査を受け、約20億円の申告漏れを指摘されていたことが6日、分かった。バイオリンなど減価償却できない希少な楽器が問題になったという。 関係者によると、所有していたイタリア製のバイオリン「ストラディバリウス」など約30丁を誤って減価償却して経費に計上していた。加算税を含む追徴課税は約5億円。既に全額を納付した。
出典:共同通信ニュース
宗次徳二さんは、経営者向けの研修などで講演することが多い方で、私もお話を伺ったことがあります。
「孤児院出身で相当な苦労をされるも、アルバイトをしながら高校を卒業し、サラリーマンから不動産会社を経営するまでになり、のち、喫茶店を経営。その後、その喫茶店のカレーが人気を呼び繁盛店に。今度はカレー屋に転身して大成功し、52歳で経営の第一線を離れる」というご自身の立身出世のストーリーを、失敗談を交えながら嫌みなく話されるのを夢中で聞き入ったことをよく覚えています。
そんな宗次さんは、音楽振興のために、ストラディバリウスを自ら購入して、有能な音楽家に貸与していました。
それがまさかこんな事態になるとは・・・。
さて話を戻します。
本件で注目すべきは、ストラディバリウスを減価償却するという前代未聞のウルトラCをクルクルと着地まできれいに決めてしまったことです。
そもそも、なぜ、ストラディバリウスを減価償却をしてはいけないのでしょうか。その理由を説明していきたいと思います。
減価償却とは、時の経過や使用による資産の価値の減少を費用として各期に計上することをいいます。
例えば、事業用の建物や機械、車両などは、時の経過や使用によってその価値が下がっていくので、減価償却を行います。
一方で、土地や、有名画家が描いた絵画などの美術品は、時の経過に従って価値が下がるものではないことから、減価償却を行うことができません。
ストラディバリウスについても、希少価値が高く、1600年代位から使われていて、その価値が下がっていないことを鑑みますと、当然、減価償却を行えないという結論です。
顧問税理士は何故、減価償却してしまったのでしょうかね?税理士業界では常識なことで通常は間違えることはないんですが・・・。